楽しみな海外旅行には予期せぬトラブル、事故の可能性はつきものです。病気や怪我、盗難やトラブルに備えるため、海外旅行保険は重要な安心材料となります。しかし、「本当に保険に入るべきか?」、「クレジットカード付帯の保険で十分か?」と迷う方も多いのではないでしょうか。 本記事では、海外旅行保険の加入率や事故発生率のデータ、保険の選び方や種類、クレジットカード付帯保険との違いについても詳しく比較します。旅行をより安全で快適なものにするため、保険選びのポイントを押さえて、万が一に備えた準備をしましょう。
もくじ
海外旅行保険に入るべきか?加入率・事故発生率
海外旅行保険の選び方・種類
クレジットカード付帯の海外旅行保険と補償金額の比較
クレジットカード自動付帯の保険で十分か?

海外旅行保険に入るべきか?加入率・事故発生率
海外旅行保険への加入は、旅行先の国・都市での事故、犯罪、怪我など予期せぬトラブルに備える上で非常に重要です。2024年に「株式会社WDC」によって実施された海外旅行・保険加入率のアンケート調査の回答結果は下記のようになっています。
常に保険に加入:69.7%
必要に応じて加入:18.18%
未加入:12.12%
また、常に加入・必要に応じて加入すると回答した旅行者への「どのような補償の保険に加入するか?」という質問(複数回答可)に対しては、下記の結果となっています。
医療費のカバー:93.10%
緊急事態のサポート:58.62%
旅行キャンセルの補償:55.17%
荷物の紛失や盗難の補償:51.72%
海外旅行先で万が一に怪我をして数百万円以上の高額な医療費がかかってしまうという稀なケースも有りうるため、特に医療費のカバーを気にする旅行者が多い事がわかります。
参考ページ:海外旅行保険の加入率・アンケート(株式会社WDC)
一方で、実際に海外旅行中に事故・トラブルはどのくらい発生しているのでしょうか。 「ジェイアイ傷害火災保険株式会社」が公表している2019年の調査によると、保険加入者数に対する保険金支払い件数は24人に1人であり、海外旅行保険が適用可能な事故・トラブルの発生率が約4.14%であったと言えます。
参考ページ:トラブルデータ(ジェイアイ傷害火災保険株式会社)
万が一の際の高額な医療費やトラブルに備えるため、やはり海外旅行の際に保険加入が推奨されます。特に、滞在日数や訪問先の医療事情を考慮し、適切な補償内容を選ぶことが重要です。

補償内容の内訳・割合
また、同調査において海外旅行保険で最も事故件数が多く、補償利用された内容と割合は下記のようになっています。
治療・救援費用:47.8%
携行品損害:26.9%
旅行事故緊急費用:20.4%
旅行キャンセル・中断:3.1%
個人賠償責任:0.9%
その他:0.9%
最も割合が多いものはやはり治療(医療)関連で、例えば自転車など乗り物の運転、ダイビングなどのアクティビティ、ハイキングなどの観光中の事故などに伴い、救急車の搬送を手配し、病院での診察・入院・治療を受けるといった流れで多額の費用が発生するようなケースがあります。
また、次に多い「携行品損害」は多くの海外旅行者が心配する、現地での盗難被害や携帯電話・カメラなどの破損に対する補償です。どんなに気をつけていても現地の巧みなスリ集団や、計画的な窃盗被害の恐れや事故はあり、スマートフォンなどよく活用する身の回り品が被害になり得ます。
3番目に多い「旅行事故緊急費用」は、飛行機の遅延・欠航や、預け荷物が行き先に届かないロストバゲージなどの事故により、予定外の宿泊費・食費・身の回り品の購入が必要になる際の補償です。
海外旅行保険の選び方・種類
海外旅行保険は、多くの保険会社が様々なプランを提供しており、選択肢が豊富です。保険料は旅行先の地域・国、滞在日数などによってもやや異なることもあります。ご自身の旅行にあわせて必要な補償内容を考慮して選ぶことが重要です。
保険料金・価格帯
期間ごとに海外旅行保険の各種プランを検索してみると、大体日数に応じて下記の料金帯となります。 基本的に海外旅行保険の日数は自宅の出発日から帰着日までが対象となります。
3〜7日くらいの短期旅行: 1,000〜3,000円
14〜30日くらいの中期旅行: 5,000〜15,000円
3ヶ月くらいの長期旅行: 50,000〜150,000円
補償項目・金額
海外旅行保険では、様々な事故・トラブルに対する補償項目があり、保険会社やプランによって補償金額が異なってきます。下記は一般的な補償項目と平均的な金額です。
傷害死亡・後遺傷害:1,000万円
治療・救援者費用:1,000万円
賠償責任:1億円
携行品損害:30万円
保険会社・プランによる違いと選び方
数多くの保険会社・プランがあり、補償項目も金額も大きな違いが見られない場合、どの保険を契約したら良いか迷ってしまいそうですね。そのような場合には各プランの詳細な補償項目の違い、加入条件、追加可能な特約もチェックして比較することもできます。例えば下記のようなポイントがあります。
24時間365日の日本語サポートの有無
飛行機遅延、航空機寄託手荷物遅延の補償
旅行キャンセル費用、ペット預入延長保険金の補償
弁護士費用、緊急歯科治療の補償
被保険者の範囲(本人・家族のファミリープラン、友人を含めたグループプランなど)
また、保険プランによっては、「満69歳、99歳以下、契約者満18歳以上」などの加入可能な年齢制限を設けていることもあります。ご年齢に応じて海外旅行保険を選ぶ際に注意しましょう。
保険の加入方法
近年ではオンラインで簡単に保険加入できるサービスが増えているため、インターネットの保険のサイトで契約者情報や保険プランなどの必要情報を入力し、クレジットカード等で支払いを行うことで、契約成立させることができます。
また、契約後にマイページなどで契約番号、補償内容、保険金の請求方法などを確認することができるため、オンラインで全て完結できて非常に便利です。
更に、急な海外渡航時の場合であっても、オンラインで当日まで加入可能な保険プランもあります。
また、国際線の発着数の多い主要な国際空港(成田空港・羽田空港・関西国際空港など)では、一部の保険会社が海外旅行保険用のカウンターを設けており、出発当日に説明を受けて保険加入することも可能です。

クレジットカード付帯の海外旅行保険と補償金額の比較
次に、保険会社と契約して利用するものとは違う、クレジットカードに付帯された海外旅行保険についてご紹介します。
以下は、日本で比較的よく利用されている代表的なクレジットカードに自動付帯、もしくは利用付帯される海外旅行保険の種類と補償項目・金額の比較一覧です。(2024年12月時点) 個別の様々なクレジットカードによって補償対象と金額は異なりますが、多くの海外旅行保険が下記の金額範囲に当てはまるケースが多いです。
カードと保険付帯の種類 | 年会費無料 自動付帯の保険 | 有料会員 自動付帯の保険 | 年会費無料 利用付帯の保険 | 有料会員 利用付帯の保険 |
料金・価格帯 (年会費) | 無料 | 1万円前後/年〜 | 無料 | 1万円前後/年〜 |
補償期間 | 90日間以内 | 90日間以内 | 90日間以内 | 90日間以内 |
傷害死亡・ 後遺傷害 | 2,000〜3,000万円 | 5,000万円〜1億円 | 約2,000万円 | 5,000万円〜1億円 |
傷害・疾病 治療費用 | 200〜300万円 | 約300万円 | 約200万円 | 約300万円 |
賠償責任 | 2,000〜3,000万円 | 3,000〜5,000万円 | 2,000〜3,000万円 | 5,000万円〜1億円 |
救援者費用 | 100〜200万円 | 200〜500万円 | 約200万円 | 400〜500万円 |
携行品損害 | 約20万円 | 30〜50万円 | 約20万円 (対象外のカードも有り) | 50〜100万円 |
代表的なクレジットカード例 (2024年12月時点) |
| 楽天カードPonta Premium Plus(※初年度無料) |
なお、「自動付帯」は該当するクレジットカードを持っているだけで海外旅行保険の補償が自動的に適用され、必要な際に利用が可能となります。 一方の「利用付帯」は旅行代金の一部または全額を、対象のクレジットカードで支払うことが前提条件となり、保険が有効となります。利用付帯の方が一定の手間や制約がありますが、一般的に補償内容・金額がより手厚くなることが特徴です。
クレジットカード自動付帯の保険で十分か?
保険会社とクレジットカード付帯の海外旅行保険をご紹介しましたが、既に保持しているクレジットカードが一定の補償をカバーしている場合、クレジットカードの自動付帯の保険だけでも十分と言えるのでしょうか?同様の疑問を持つ海外旅行を予定されている方もいるかと思います。
1週間以内など短期の海外旅行でリスクの高いアクティビティをしない場合や、比較的医療費が安い国を訪れる旅行者であれば、クレジットカード付帯の海外旅行保険だけで十分とも考えられそうです。 しかし、いくつかの注意点からそれだけでは補償が不十分で、不運が重なると高額請求を受けてしまうリスクが有ることは念頭に置く必要があります。 まず、クレジットカード付帯の場合、同行者が補償の対象外となることが多く、それぞれがカードを持っていないと保険適用されない場合があります。 また、主に治療費の補償額などは保険会社のプランに比べるとクレジットカードのものは大きく劣ることがあり、高額な医療費が発生した際に不足する可能性があります。航空機のキャンセル費用など特定の補償が含まれていないケースも多いため、補償内容に不十分さを感じることがあります。
加えて、クレジットカード付帯保険は90日以内の補償期間に制限されていることが一般的であるため、長期旅行では追加の保険が必要になることがあります。
保険会社とクレジットカード付帯の海外旅行保険の併用
なお、保険会社の海外旅行保険とクレジットカード付帯保険を併用することで、補償内容を強化することもできます。クレジットカード付帯保険を基礎補償として活用し、不足しがちな治療費やキャンセル費用を保険会社のプランを契約することで補完する対策などが考えられます。
また、カード付帯では対象外となる家族や同行者の補償も、保険会社のプランでカバーできます。併用することで費用を抑えつつ、万全な補償を確保できるため、安心して海外旅行を楽しむための賢い選択と言えるでしょう。